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ジム・ロジャーズ おすすめ本

ジム・ロジャーズ

(Jim Rogers、1942年10月19日)

 

⭐️まとめ

ロジャーズの考えでは、今後中国一択、中国語を学ぶべき。中国語だけなら、大連、ハルビンの家庭教師から学ぶのもいい。

短期的10-20年は韓国・北朝鮮ものびる。

債務問題と、中国とのエンジニアの数の違いにより日本、アメリカが衰退する。Alibaba、Tencent、Baidu、HUAWEIが成長する。

日本にいるなら農業をするか、インバウンド向けの観光業をするか、どちらか。

⭐️

 

 

少子高齢化と人口減少、社会保障費の増加など日本には問題が山積している。

1歳の娘の将来をこの上なく心配するフォーブス ジャパンの編集者が、大胆にも来日した世界3大投資家 ジム・ロジャーズに「子供の進路相談」を持ちかけた。

ジムは開口一番こう答えた。

「絶対英語よりも中国語を学ばせたほうがいい。なぜなら、アメリカは衰退し、中国が再び世界の頂点に君臨することは明らかだからです」

自信満々に語る真意とは?


──グーグルやアップルやアマゾン、マイクロソフトなどは相変わらず好調ですし、シリコンバレーにおけるスタートアップにも勢いがあります。アメリカは今後も安泰、という見方もできるかと思いますが。

決してそんなことはありません。不思議なことに日本であまり知られていないようですが、今のアメリカは「有史上最大の債務国」なのです。増え続けているその債務は対外純資産が約マイナス900兆円(2017年末地点)と他国に抜きん出ています。

──900兆円とは莫大ですね。株式は好調なようですが。

それが危ないのです。アメリカの株式市場は、2009年3月底を打って以来、10年間上昇を続けています。これはなんと史上2番目の長さです。
歴史を学んだことがある人なら誰でも「現在のアメリカの上昇相場がいつか止まる」「そこから世界的な経済危機が起こるかもしれない」ということを容易に予想できるでしょう。

僕は今、日本の株を全く持っていない

──アメリカが危ない、となると日本はどうですか?

残念ながら目も当てられない状況に陥るでしょう。足し算と引き算ができる人なら明白です。

日本は債務が膨らみ続けています。その額、なんと1100兆円(対外純資産は世界一位のプラス約300兆円ですが)。こうしている今もとてつもない勢いで増加しています。これは単純な足し算。

対して、日本の人口は絶望的なスピードで減っています。この低下するグラフに延長線を引いていきましょう。20年後は凄惨な状況であることが一目瞭然です。これは引き算。

この2つが同時に進行しているのです。

──たしかに。時々議論される問題ですが、多くの人は楽観視、もしくは思考停止に陥っている気がします。

クレイジーな外人が適当なことを言っているのではなく、これは事実なんです。でもだからと言ってこれを正視して行動を起こす人は少ない。私だったら心配して移住するでしょう。
 
債務と人口の変革をしなければ、生活水準が落ちるのは当たり前。だから何も新たな行動をしなければ、それは受け入れたも同然なのです。

──聞くのも怖いですが、ジムさんは、現在日本の株はお持ちですか?

今、僕は全然日本株を持っていません。日本は最も大好きな国の一つですけどね。今日も富士山柄のサスペンダーとネクタイをつけてるくらいですし、富士山にも登頂しました。

──革新的なイノベーションが日本の未来を救う可能性はありますか?

可能性はないわけではありません。でも、よっぽどのイノベーションがないといけませんし、そもそも日本には中国の15分の1しかエンジニアがいない。世界をリードするイノベーションが起こる可能性がそれだけ低い、ということです。

仮に素晴らしいイノベーションが起こったとしても、債務の増加と人口減少という問題は依然としてそこにあるでしょう。

──2020年には東京五輪がありますが、どのようなインパクトを起こすでしょうか? 

残念ながら、経済的な側面で見るとあまり効果がないでしょう。短いスパンで、ごく少数の人に少し影響がある程度です。これまでの歴史でオリンピックが「国に」大きな影響を与えたことなどないのです。

1976年にどこでオリンピックがあったか答えられますか? それでその国が変わりましたか? ……そういうことです。ホテルやレストラン、観光業が短期的に盛り上がるくらいです。
2027年にもなると、2020年のオリンピックがどこであったか、答えられる人は少数でしょう。オリンピックで負債が下がったら奇跡です。

──2025年には大阪万博がありますが。

万博はさらに影響が小さいでしょう。これも見解ではなく歴史から導き出せる事実です。

ちなみに、すごく楽しいイベントですが、ワールドカップも同様です。

足し算と引き算ができるのであれば、あとのご判断はお任せします。ただ僕は心配です。50年後、人々はどこでお寿司を食べたらいいのでしょう?

子供が15歳なら韓国語を学ばせよう

──アメリカも日本も危ないのですね。では、今後の未来が明るい国はどこですか?

意外かもしれませんが、次の10年、投資先として一番盛り上がるは韓国・北朝鮮です。

北と南が統一され、若い労働力とそのポテンシャルが十二分に発揮されるからです。
 
これほどまでに教育レベルが高く、安い人件費を抱えている国はありません。中国と国境で接していることも重要です。この「統一された国」に日本は対抗できません。

私はアメリカ人なので北朝鮮に投資をすることはできませんが、韓国にはすでに投資をしています。

──朝鮮半島に世界のお金が集まるんですね。子供に韓国語を学ばせるのも魅力的に思えてきました。

ただし、この「特需」は10〜20年くらいの限定的なものでしょう。だから子供が今15歳とか大学生なら韓国語を学ばせるのもいいでしょうが、あなたのようにお子さんが1歳となれば答えは一つです。

韓国語を学ばせずに、20歳の時には中国にいるべきです。

子供が1歳なら「中国語一択」

──中国が再び世界のトップに君臨するという根拠はどこにあるのでしょうか?

まず、先ほども触れたように中国は毎年アメリカの10倍、日本の15倍ほどエンジニアを輩出しています。その結果として、世界のユニコーン企業(企業評価額が10億ドルを超える非上場のテクノロジーベンチャー企業)の約3割が中国にある、という傑出した状況を作り上げています。

──それは驚きですね。

さらに、百度、アリババ、テンセント、ファーウェイの4社はアメリカの4大IT企業である「GAFA」を凌ぐ勢いで成長しているのです。ピークを過ぎたアメリカが世界一の座を明け渡すのは時間の問題でしょう。

──とはいえ、中国はリスクを抱える国では?

中国はもちろん問題を抱えています。

しかし忘れてはいけません。20世紀、アメリカは最も成功した国でしたが、問題は山積し、数々の紛争も起こっていました。幾度も経済不況に苦しめられましたし、人権、法律もまるで未整備。アメリカはひどい場所でした。それでも急成長できたのです。
以上から、あなたの1歳の娘さんはマンダリン(中国の公用語)を学ぶべき、と断言できるのです。

──では、別の観点からお聞きします。翻訳機などの進化が目覚ましいですが、ここまで進化すると、言語習得の必要性は薄くなるのではないでしょうか?

いえ、そんなことは起こり得ません。疑いの余地もない。AIに取って変わることはありえないのです。

通訳テクノロジーがどれだけ進化しても、自分自身で理解したうえでの瞬間的な反応が必要なのは変わりませんし、エスカレーターで小耳に挟んだ情報が事業の明暗を分ける、というシチュエーションは容易に想像できます。

つまり「自分自身で言葉を操れる」を超えるものなどないのです。

あなたも、どこかのバーで誰かに英語で話しかけられた時、AIに頼って会話をしたいですか? きっとそれは全く違う体験になってしまうのではないでしょうか?

──では、どのようにしてマンダリンの学習をスタートすればいいでしょうか?

今1歳であるならば、即座にかかってもいいくらいです。本人も意識していない内に。例えば、中国語のアニメのDVDを買い与えるのもいいでしょう。

──留学させるのであれば、ジムさんとその娘さんのように、シンガポールがいいのでしょうか?

じつは、シンガポールで話されているのは決してハイソなマンダリンではありません。英語も同様です。マンダリンを正式に学ぶのであれば、大連ですとかハルビンといった中国の北方出身の家庭教師に学ぶのが一つのオプションになるでしょう。

──宗教理解、異文化理解のためにシンガポールはいい場所ですか?

宗教の多様性という意味では仏教、イスラム教、ヒンズー教キリスト教、言語の多様性という観点でも英語、タミル語、マレー、中国語の4カ国が主要言語であるので、環境としてはいいでしょう。しかし、繰り返しになりますが、きっちりとしたものを学ぶためには中国に留学させるか、きちんとした教師をつけるべき。
 
もちろん、多様性を気にされるのであれば、日本人学校に通わせるべきではありません。

留学や学習によってマンダリンを身につけたあなたのお子さんは、いつの日か心からの感謝を届けてくれるでしょう。

 

今最も楽観している農業分野と低金利時代の投資について語っている。

 

私は落ち込んでいるという理由で農業について楽観している。
ロジャーズ氏が逆張り投資家らしい観点で農業分野への関心を語っている。
現時点で、他の何よりも楽観している投資分野だという。
なぜ楽観するのか。
それはすでに底近くにあるからなのだ。

「悪夢だ!
米国の農民の平均年齢は58歳。
多くのアメリカ人が農業でなく広報の勉強をしている。
日本の農民の平均年齢は66歳だ。
英国で最も自殺率の高い産業は農業だ。
インドでは過去数十年、数百万人の農民が自殺した。」

ロジャーズ氏は、世界の農業が悲惨な状況にあるとし、他も挙げれば枚挙にいとまがないと話す。
そして、この大底だからこそ同氏は農業に強気なのだ。

「禍がある時はしばしばチャンスもある。
農民になる方法、農産品コモディティについて勉強するよう奨めたい。」

ロジャーズ氏が農業分野への関心を話し始めてもうだいぶたつ。
ロシアの農薬会社の役員に就任するほどの入れ込みようだ。
確かに農業は社会にとって最も重要な産業の1つ。
説得力のあるストーリーだが、残念なことに今のところ大きく実を結んだ様子はない。
いつか大きく身を結ぶのか、永遠の出遅れ分野となるのか、興味深いところだ。

ロジャーズ氏は、引退する友人・家族にアドバイスするなら、と尋ねられて、とても慎重な答を返している。
長く超低金利が続く中、落とし穴にはまらないよう注意を促している。

 

よくよく注意しなさい。
多くの人が今、利回りを追い求めている。
高利回りは高リスクを意味しているのに、不幸なことに多くの人がそれを理解していない。
誰かが6%の利子をくれると言ったら、たぶん知らん顔すべきなんだ。
金融緩和はもちろん善意から始まったことだ。
しかし、様々な意図せざる副作用をもたらした。
その1つが詐欺、あるいは詐欺的なセールスだ。

ロジャーズ氏は、自身の投資先もまた厳しい吟味の末にGoを出していると明かしている。

「仮にあなたが自分のやっていることをわかっているのなら(私は自分のやっていることをわかっているかどうかわからない)、例えばロシアの債券を保有していい。
同債券は高利回りだが、私はとても慎重に購入している。
盲目的に利回りを追う過ちを犯してはいけない。
さもないとすべてを失ってしまう。」

ロシアはロジャーズ氏のお気に入りの地域だ。
いつか制裁が解けて大化けするともくろんでいる。
そのロシアでさえもちろん何でもいいというわけではない。

「簡単な答はない。
(投資を)減らして少ないリターンを甘受するというのが解なのだろうが、誰も望まない。」

金利は高齢者の心理を圧迫している。
引退後は年金と金利収入で暮らそうと考えていた人たちから金利収入が奪われた。
もちろん低インフレの時代だから元本を上手に取り崩していけばいいのだが、それは頭の良すぎる人の言い訳だ。
多くの庶民は、元本を崩していくことに恐怖感を覚えている。
そして、残念なことに詐欺やハイ・リスク/ハイ・リターンの罠にはまってしまうのだ。
こうした問題は往々にして景気後退・市場下落とともに表面化する。

問題が起こり、今後数年はすべての人にとってあまり良くない時期になるだろう。
金利は上昇するが、しばらく時間がかかる。
真実ならば良すぎることは真実じゃないから、気をつけろ。

 

ジム・ロジャーズ氏が、大きな金融市場のサイクルについて話している。
現在は困難な時代への入り口であり、投資家は保険としていくらか金をポートフォリオに組み込むよう奨めている。

 

2020年代のテーマは)サバイバル、主にサバイバルだ。
経済と金融市場は極めて深刻な問題を抱えている。
誰もがサバイバルに終始する10年になるのではないか。
2020年代はどんな10年になると予想するか尋ねられ、ロジャーズ氏が答えたとIn Gold We Trust 2019 Reportが伝えている。
答の背景には、シクリカルに変動する金融史観がある。
ロジャーズ氏によれば、良好な金融市場が長く継続する期間とそれほど良くない期間が交互に現れる。
これからは再び厳しい時代に入るのだという。

「2008年、過剰な債務のために問題が起こった。
それ以来、債務は至るところでうなぎのぼりだ。
みんな財政再建を口にするが、誰もそれを実行しない。」

世界金融危機債務危機だった。
その危機を封じ込めるために各国政府は債務を拡大させるやり方を用いた。
債務は少し居場所を変え、少々安全なところに移ったようにも思えるが、一方で債務の総額は大きく拡大した。
レバレッジ拡大のリスクが高まったのかどうかは定かでないが、十分に減ったのかどうかには疑問符が付く。

債務は確かに居所を変えた。
民間から政府・中央銀行へ、あるいは中国へ。
世界金融危機後の経済成長を支えた中国のバランスシートは、危機時には健全そのものだった。
だからこそ危機後の世界経済を牽引できたのだ。
ところが、その中国もこの数年債務危機震源地となるのではないかと心配されている。

ロジャーズ氏は、この変化に1つの解釈を与えている。

「何十年も中国は借金をしていなかったところ、突然信用を得ることができるようになり、物事が簡単になったのだろう。
債務を抱えることの帰結をよく理解していないなら、すばらしいと感じるはずだ。
借金をして返済することをあまり考えないなら簡単だ。」

さらに、中国国民の知見にも一因があるという。

「資本主義システムにいる人なら悪い時代を知っている。
このシステムで育った子供たちは、人々が破産する恐ろしい話を聞いている。
今の中国では、長い間心配すべき債務がなかったため、子供たちがこうした話を聞いて育たなかった。
彼らの偉大な祖父たちはこうした話を知っているが、現在の世代はあまり認識していない。」

 

これは決して中国だけの問題ではない。
ウォール街においても徐々にバブルを知らない世代が増えている。
景気拡大は10年に及び、10年前に就職した投資銀行社員でも職場においてバブルやその崩壊を目の当たりにしていない。
すでに戦力の中心となっているだろう就職後5年の社員なら、住宅バブル崩壊時は高校生、同バブル時は(日本でいう)中学生の頃。
こうした世代は、日本の40代以下と同様に金利が大きく上昇することを身に染みて経験していない。

日本の場合は金利だけでなくインフレについても意識されない時代が続いている。
金利やインフレ昂進を経験した世代がどんどん引退年齢を迎えている。
金利や高インフレをことさら恐れるのは滑稽だが、リスク・シナリオから外してしまうことも同様に滑稽だ。

ロジャーズ氏の信念は、歴史が繰り返すということ。

いつもそうだったんだ。
金融市場が長くすばらしい時代とそうでない時代が繰り返してきたんだ。
金融界は40年間楽な時代を過ごしてきて、それが終わろうとしている。
いつものことなんだ。
では、困難な時代に向けて投資家はどう行動すべきなのか。
ロジャーズ氏は淡々と人々の行動パターンを説明する。

「歴史を通して、政府や通貨が破綻すると、常に金や銀に向かうようになる。
おそらくそうすべきじゃない(多くの学者がそう言っている)のだろうが、みんなお構いなしだ。
それが人々の行動なんだ。」

正しいかどうかではなく、それが人間の行動なのだ。
ただし、ロジャーズ氏はだからといって金を楽観しているわけではない。
金は万能ではないと言い切っている。

保有すれば損をする時期が長く続いている。
私は長らく金を保有しているが、歴史を振り返れば、正しいタイミングで売買しない限り金で儲けることができないのがわかるはずだ。」

利殖を目的とするなら、タイミングよく売買することが重要という。
ロジャーズ氏自身はマーケット・タイミングに興味がないから、利殖のためには金を積極的に奨めていないのだろう。
この日はリップ・サービスも少なめに慎重な言葉遣いをしている。

金は保険として保有すべきなんだ。
医療保険自動車保険、火災保険のようにね。
保険を使わないですむことを願うが、万が一のために買いたがる。
みんないくらか金・銀を保険として持つべきとは言ってよい。

 

今後、日本において投資すべき産業は何だろうか。日本の産業界の活路は、どこに見出せるのだろうか。著書『お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』より、世界三大投資家の1人、ジム・ロジャーズ氏が解説する。
インバウンド投資はまだまだ伸びる
私はツーリズム(観光業)を真っ先に挙げたい。個人的には、日本のツーリズム──観光業、ホテルや古民家に投資したいと思っている。

日本はすばらしい国で、名所もおびただしい数がある。さらに、後述するように日本人は何をやっても非常に質が高い。だから多くの人を引きつける。近隣諸国、特に中国人にとっては魅力的な観光地だ。

中国人は何百年もの間、旅行をすることができなかった。最近にかぎっても、共産党は国民を外に出さないよう、パスポートの入手や国外への通貨持ち出しを制限していた。それがいま、パスポート入手も通貨持ち出しも簡単にできるようになり、旅行は身近なものになった。

中国の人口は約14億人。日本の約11倍だ。それだけの人が、国外へ出かけようとしている。中国の旅行業には膨大な可能性が秘められている。日本は中国に近いため、まず旅先の選択肢に挙がるだろう。中国だけではない。ベトナムは約9300万の人口を擁しているが、その多くも日本に行きたがっている。

ツーリズムは2020年の東京オリンピックが終わると落ち込むのではないか、と危惧する方もいるだろう。確かにほとんどの国ではそうだ。オリンピックに向かって伸びていき、終わると落ちる。しかし、日本の場合はそこまで落ちないと私は思っている。日本経済の規模が大きいからだ。

日本はずっと、自ら扉を閉ざしていた。20年前、いや、10年前でさえも、ほとんどの旅行客にとって日本は旅先の候補の中に入っていなかった。物価が高く、外国人に嫌われていたのだ。外国人が来日しても進んで助ける人はいないように見えたし、外国のクレジットカードは使えなかった(いまでも外国のカードは使えないことがある)。

それでも、状況はかなり変わりつつある。私のクレジットカードも使えるところがあるし、日本のツーリズムの将来は明るいと言えそうだ。外国人の安い労働にも依存していない。古民家など、外国人を魅了するものは日本にまだまだたくさん眠っている。
 

もう1つ、投資したい産業がある。農業だ。農業には、地域を問わず世界各地で明るい未来が開けていると私は思っているが、日本は特にそうだと言える。

いま、日本には農業をする人がいない。日本の農業従事者の平均年齢は、約66歳という高齢だ。担い手さえ見つければ、日本の農業には明るい未来が待っている。競争がない業界だからだ。いま、あなたが10歳の日本人の子どもだとしたら、農業をやることも考えたほうがいい。

 
日本人教授のトンデモない冗談
あるいは移民を受け入れるのもいいだろう。日本がひとたび移民受け入れを表明すれば、多くの人が日本に移住し、農地を買ってそこで働くだろう。多くの日本人は教育を受けて甘やかされているので、農業では働こうとしない。移民なら、農業でも働いてくれる。低賃金で働いてくれる外国人を日本に入れない限り、農業は大きな成長産業にはならないだろう。

日本の農業の問題は、政府によって保護されすぎているという点にある。政治家が農民から票を得るために保護しているからにほかならない。日本コメの価格は、かつては世界市場の5~6倍だった。あまりにも高いので、他国に輸出することができない。

私はかつて日本の教授と、ある大学で討論したことがある。その場で、日本のコメ価格は世界の6倍だと指摘した。価格が高すぎて、日本人ですら買いたくても買えないと述べたのだ。すると討論相手の教授は、「われわれ日本人は外国産のコメを食べることはできない」と言い放った。

続けて、「何世紀も国産米を食べているから、われわれの消化器官は外国産のコメを消化することができない。もし食べたら下水道が破壊され、国中の下水パイプを取り換えなければならない」とも言った。最初は冗談かと思ったが、どうも本気だったらしい。

アメリカに住んでいる日系人はカリフォルニア米を食べている。もし教授の言葉が真実だとしたら、アメリカの下水設備は破壊され尽くしているはずだ。しかし、何事もなく残っている。

日本人による「国産米信仰」は、少々度がすぎるというものだ。大学教授でさえ真顔でこんな話をするのだから、多くの国民は「日本米は特別で、高価なのは当然のこと」と思い込んでいるのではないか。

コメであろうとほかの農産物であろうと、低賃金労働をとり入れて価格を下げない限り、ほかの国と競争することはできない。ブラジルやアメリカと戦えるような大きな農産業は、今後も出てこないままだろう。それでも、日本は低賃金労働をとり入れようとしない。このままでは国民みなが貧しくなり、100年もすれば、日本は消えてなくなってしまう。
 

しかし、状況は少しずつ改善されてもいる。2016年、農地法が改正されて、農業への参入の壁がだいぶ低くなった。さらに、こんな例も耳にした。元会社員が始めたある農業法人が、年商12億円もの売り上げをあげる会社に成長し、アジア各国へ進出を果たしているというのだ。日本の農業の可能性の扉は、まさに開き始めていると言える。

教育ビジネスの機会も増えるかもしれない。現在、生徒が足りずに廃校に追い込まれている学校がたくさんある。子どもが減っているので、学校も空になるということだ。日本に来たがる外国人学生はたくさんいる。あるいは、積極的にたくさん受け入れるようにすればいいのだ。すでに、外国人を積極的に受け入れる日本の大学も増えてきている。


40歳以上の日本人は農地を買ったらどうか
韓国や中国の子どもと話すと、彼らは「大学に入学できない」と言う。大学の数が少ないので競争率が非常に高いためだ。

私はそういう彼らに、「日本に行きなさい。日本の大学なら受け入れてくれる」とアドバイスしている。日本では「大学全入時代」と言われるくらい、大学の数が余っている。定員割れで生徒を欲しがっている大学はたくさんあるだろう。そういう大学こそ、留学生を受け入れるのだ。

外国人に来てもらうには、世界の共通語である英語で授業をしなければならないだろうが、いまは東京大学でもどこでも、外国人が英語で講義をしている大学が増えている。


以前、アメリカのラジオ番組で私はこのように述べた。「もし私がいま10歳の日本人ならば、自分自身にAK‐47(自動小銃)を購入するか、もしくは、この国を去ることを選ぶだろう」と。ただ、私が40代の日本人だったらどうだろう。いきなり自分の国から出ていくというのは、いささか難儀なことかもしれない。

そこで考えるのは、農場を買うことだ。いま、日本の農地や農場は安い。誰も買おうとしないからだ。安い農場を見つけ、そこで働いてくれる人材を見つけるべく、最善を尽くすだろう。外国人労働者に来てもらうのが手っ取り早いが、元気な老年期の人たちにやってもらうのも手かもしれない。最近の60代は、定年退職した後でも体力と頭脳があり余っている。そんな人たちに働いてもらいたい。

あるいは、古民家のチェーン事業を始めるのもいい。私だったら、従業員には外国人を雇う。外国人の働き手を確保するべく、教育事業にも着手するだろう。募集・採用にはきっと苦労しない。韓国や中国、インドでは大学が不足しており、逆に人口減少している日本では大学が余っている。人口に対して大学が不足している国から、学生たちを呼び寄せるのは容易だ。そうして学生を採用し、日本の大学で勉強させるべく教育を施す。

そのようなビジネスを手掛ければ、40代でも日本で成功を収めるのは十分可能だろう。