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サム・アルトマン おすすめ本

サム・アルトマン

生年月日: 1985年4月22日 

 

 

⭐️まとめ

アルトマンの考えでは、自分を信じて、自分の思うような世の中に変える事が大事だと言っている。やりたい事に集中し、急拡大する可能性のある株式(サービス)だけに時間を費やすべきだと言っている。

⭐️

 

 

アルトマン氏によれば、多くの人はまず「お金」を求め、やがて、「なにか大事なものを生み出したい」と思うようになるとのこと。その両方を得るのは簡単なことではありませんが、これまで数多くの起業家の成功と失敗を見てきたアルトマン氏がまとめた以下の13項目を満たせれば、目標達成により近づけるはずです。

◆1:自分自身を「複雑」にする
多くのキャリアはかなり直線的に進んでいきますが、富を生み出すのは指数関数的な曲線なので、複合作用のあるキャリアを進んでいくことが重要です。キャリアが進むにつれて、あなたの作業単位がより多くの結果を生み出せるようにするべきです。

◆2:過剰なまでの自信を持て
「自信」は非常に強力なもので、アルトマン氏が知る成功した人々は、多くが妄想なのではないかと思えるほどに自分自身を信じていたとのこと。たとえば、アルトマン氏が数年前、イーロン・マスク氏にSpaceXの工場を見せてもらったとき、火星行きロケットを打ち上げることについて語るマスク氏の表情は絶対的な確信を持つものだったそうです。

ただし、同時に自己認識とのバランスを取る必要もあります。アルトマン氏自身、かつては批判を聞くのが嫌で避けていたのですが、自信と自己欺瞞を分けるためにも、「批判は真実であろう」という前提で、耳が痛いこともちゃんと受け止めているとのこと。

◆3:独自に考えるということを学べ
起業家としては必要なのに学校では教わらないことが「独創的な思考」です。これはアルトマン氏であっても教えることが難しいものだとのことで、独自に習得する必要があります。

思考を養うにあたって最も有力な方法の1つは、解決方法がないように思える状況をどうすれば解決できるか考えることです。成功者の多くが持っている「グリット」(困難でもくじけずにやり抜く力)は、困難に打ち倒されてもまた立ちあがれるということを知ることから生まれてきます。

◆4:セールスはうまくあれ
成功するには「自分自身が信じる」だけではなく、その信じていることを他の人々にも納得させる必要があります。つまり、「セールスが上手」である必要があります。セールスには、感動的なビジョン、強力なコミュニケーション能力、ある程度のカリスマ性、実行能力があるという証拠が必要です。そして、売上を伸ばす最善の方法は、売っているものの価値を真に信じることです。

◆5:危ない橋は渡れ
多くの人はリスクを過大評価し、報酬を過小評価しますが、「常に正しいこと」をするのは不可能であり、「どこで危険を冒すか」が重要です。多くのことを試し、多くのことを学んで素早く適応する必要があります。

◆6:集中
多くの人は重要ではないことに時間を割いていますが、アルトマン氏が見てきた成功者は「『何に焦点を当てるべきか』を考えること」に時間を費やしていたそうです。つまり、「何時間も働く」より「やるべきことに取り組む」方が重要だというわけです。

◆7:熱心に働け
たくさん仕事をするということは、人生において他の何かとの大きなトレードオフとなります。「仕事はほどほどに」というのも合理的な選択ですが、極端な人ほど極端な結果を得られるもので、一生懸命に働いた人はそれだけ勢いを得て、成功が成功を生むことになります。

◆8:大胆であれ
人々はエキサイティングなものの一部として働く方が、そうではないものの一部で働くより重要であると感じるものです。もし、取り組む問題が重要なものであれば、それを助けたいと思う人から絶え間なく追い風が吹きます。誰かがエキサイティングだと思ったものは、他の人にとってもエキサイティングだと思えるもののはずなので、自分が本当にやりたいことに取り組むべきです。

◆9:わがままであれ
世界を自分の思うように「曲げる」ことを、多くの人は試しもせずに難しそうだと思いあるがままを受け入れていますが、驚くほどに「曲げられる」ものであるというのがアルトマン氏の主張です。

人々は何かを起こすだけの能力はあるのに、自信がなかったり、諦めが早かったりして、可能性を自ら閉ざしてしまっています。そこで「これがうまくいくまで続けます。どんな課題も乗り越えてみせます」と背中を押し、成功へ導けばよいというわけです。

ただ、わがままであるためには楽観的である必要もありますが、楽観的な見方は訓練で身に着けられるそうです。ちなみに、アルトマン氏はこれまで悲観的で成功した人物には会ったことがないとのこと。

◆10:競合できないような存在に
多くの人は、競合できないような存在の企業は価値がある企業だと考えます。これは重要な真実であり、そして、企業だけではなく起業家についても当てはまります。やろうとしていることが他の人もできるようなことなら、あまり多くの金を生み出すことはできません。

◆11:ネットワークを構築せよ
たとえ、自分が苦手な部分があっても他の人が苦手とするとは限らないように、素晴らしい仕事を成し遂げるにはチームが必要です。才能ある人々との繋がりは、そのまま自分が成し遂げられるものの限界となります。

ネットワーク構築の有効な方法は、できるだけ多くの人を助けること。アルトマン氏は、10年以上前に誰かを助けたことが後になってあちこちで返ってきて驚くことがあるそうです。

◆12:「モノ」を所有することで豊かになる
アルトマン氏が子どものころ、人々は高給だから裕福になると「勘違い」していたそうです。実際には、フォーブスの長者番付を見てみると、芸能人のような職の人を除いて、給料が高いことで番付上位に入っているような人はいません。真に裕福になるためには、価値が向上する「モノ」を所有することです。この「モノ」とはビジネスや不動産、天然資源、知的財産などを指します。

◆13:外的要因より内的要因で動く
多くの人は「他の人を感動させたい」など、外的な要因で動きます。しかし、アルトマン氏が知る成功者は「自分自身を感動させるため」のような内的な要因で動いている人が多いそうです。お金を十分に稼いだとき、そして十分な社会的地位を築いたとき、より高いレベルのところに駆り立てられることになります。

 

はじめに

複利効果」は金融だけではなくキャリアにも魔法のような効果がある。
小さな差であっても50年間積み重ねることで大きな差に。生産性を高めることには意義がある
10%多くの仕事をこなし、毎日1%ずつ向上すれば、そうではない人との差は大きなものに
何に取り組むか

生産性のために最も重要なのは、正しいことに取り組むこと
「すごい人」は、他の人にはない、世界に対する信念がある
自分が話す人皆と同じ考えなら、それは悪い兆候
スケジュールの中に、考える時間を残す。本を読む、面白い人と時間を過ごす、自然の中で過ごす、など
自分が好きなこと、大切だと思うことに取り組む
他の人も、自分の好きなことをする時に最も生産性が高い。委譲する時はそれを意識する
自分の好きではないことを長い時間やっていることに気づいたら、転職を真剣に考える
頭がよく、生産的で、楽しく、ポジティブな人と時間を過ごす。それとは反対の人は避ける
近道は無い。大切なことを成し遂げるには、賢く、かつ、一所懸命に働く必要がある

優先順位リストを作る。その年、その月、その日ごとに、達成したいことを書き出す
分類や作業量の見積もりなどはしない
毎日、進められる仕事から先に取り組むと、勢いがつき、どんどん物事を成し遂げられる
断固として断る。失礼なぐらいメールの返事が素っ気ない
会議はたいてい時間の無駄。ただし、新しい機会との出会いのため、スケジュールに余裕を残す
ほとんどの会議は、15〜20分、もしくは、2時間がちょうどいい時間。デフォルトが1時間なのはおかしい
一日の各時間に対して、違うタイプの仕事をする。自分は朝が一番生産的な時間なので、スケジュールを入れない
「生産性ポルノ」の罠に落ちない。生産性を完ぺきにしようとするあまり、正しい問題に取り組んでいるかどうかを忘れがち
身体的な要素人によって、何が最も効果的かは違う。実験する
第一に睡眠。睡眠トラッカーが役に立つ
気温が低く、暗くて静かな部屋で寝る。敷布団にこだわる。旅行の時は耳栓とアイマスクを使う
旅先で眠れない時は、睡眠薬を少量使うことも
朝、メールチェックをするときに LED ライトを浴びる (オススメ)。
第二に運動。筋トレ1時間を週3回+高強度インターバルトレーニングを時々
第三に栄養。朝食を抜くミニ断食スタイルが自分に適している
砂糖の多い食事、辛すぎる食事は避ける
朝と朝食後にエスプレッソ
ベジタリアンビタミンB12、オメガ3、鉄、ビタミンD3を補充

その他オフィス:自然光、静かで割り込みのない環境
頻繁にしなければいけない雑事はソフトウェアを書いて解決。タイプ速度を上げる。キーボードショートカットを学ぶ
何もする気になれない期間(1〜2週間)がある。そのうち治る。ネガティブにさせる場面や人々を避ける
少し仕事を引き受けすぎるぐらいがちょうどいい。物事を効率的にこなせるようになる。あまりにもたくさん引き受けるのは避ける
家族や友人をないがしろにしない。幸せ度で言うとトータルでマイナスになる。自分の好きなことや、頭を整理してくれることもないがしろにしない
最後に間違った方向に生産性だけを上げても意味がない。何に取り組むかについてもっと考える

 

 

今年の初め、起業家で投資家のサム・アルトマン(Sam Altman)氏は、Y Combinatorの社長という注目される役職を離れ、OpenAIのCEOとなった。OpenAIは2015年の末にハイテク業界の最も著名な人たちによって設立されたAI研究組織である。この組織が目指すのは、創業者の1人であるイーロン・マスク(Elon Musk)氏がニューヨークタイムズへ回答したように、人工知能が「安全な方法で開発され、人類にとって有益なものであること」を確実にすることだ。

この動きは多くの意味で興味深いものである、なにしろ汎用人工知能(あるいは機械が人間に並べるくらい賢くなる能力)はまだ存在しておらず、AIのトップ研究者たちでさえ、それがいつになるのかについてはっきりとはとても言えないのだから。アルトマン氏のリーダーシップのもとで、もともとは非営利組織だったOpenAIは、「これからの数年のうちに大規模クラウドコンピューティング、才能ある人材の確保、そしてAIスーパーコンピューターの開発に対して数十億ドル規模の投資をする必要がある」というコメントを発しつつ、利益を目指す企業として組織変更を行った。

OpenAIが、それほどまでに多額の資金を集めることができるかどうかはまだわからないが、私たちはもしそれが実現されるとしたら、アルトマン氏自身の力によるものだろうと予想している。5月16日夜にステージ上で行われた、YCの進化からOpenAIでのアルトマン氏の現在の仕事までを網羅した拡大インタビューは、観衆をあっという間に魅了する力があった。

例えばYCでは、リーンネスと「ラーメン代がまかなえる利益率」が、一般的なアクセラレータープログラムの卒業生たちが目指すゴールだった時代もあったことを語り合った。しかし最近のゴールはすぐにでも数百万ドル、あるいは数千万ドルをベンチャーファンドから調達することになっているように思える。

「もし私が市場をコントロールすることができるなら、明らかに自由市場は勝手に進んで行きますが、私はYC企業たちには調達しようとしている金額や評価額を上げさせないでしょう」とアルトマン氏はこの小さな業界向けイベントの中で聴衆に語りかけた。「一般的に、それはスタートアップにとって良くないことだと思っているのです」。

アルトマン氏はまた、個人的だったり時に陳腐だったりする質問を投げかけられても率直に答えていた。さらには、このイベントのためにたまたま街にいた母親との、長期にわたる親密な関係についての話まで提供してくれた。彼は、彼女が「絶対に」信頼しているほんのひと握りの人々の一人だと語っただけでなく、その小さな輪の外の人々からの率直なフィードバックを得ることが、時間とともに難しくなっていることを認めた。「キャリアのある時点になると、人びとがあなたの気分を害したくないと思ったり、あなたが聞きたくないような話をしたくないと思ったりするようになります。もちろんこの時点で私が手にしているものは、フィルターがかけられ事前に計画されたものであることを、私ははっきりと意識しています」。

 

確かに、アルトマン氏は、多くの人たちよりは動き回れる範囲が大きい。このことはアルトマンがY Combinatorを5年にわたって運営したやり方(基本的に何度も規模を拡大した)から明らかなだけではなく、OpenAIについての彼の議論の仕方からも、彼の現在の思考が一層大胆なものであることは明白である。確かに、木曜日の夜にアルトマン氏が語ったことは、もし他の誰かが語ったならば、単なるたわごととみなされるようなものが多かった。アルトマン氏が語ることで、聞く者が驚かされることになるのだ。

例えば、OpenAIがどのように収益を上げることを計画しているのか(私たちは、成果の一部にライセンスを設定するのかを知りたいと思っていた)という質問に、アルトマン氏は「正直な答は『まだ何もない』ということです。私たちはいかなる収益も上げたことがありませんし、現段階では収益を上げる計画もありません。一体どうすれば、いつの日か収益を上げられるようになるのかがわからないのです」と答えている。

アルトマン氏は続けて、次のように述べた「私たちは投資家の皆さんに『もし汎用人工知能を開発できたら、それに対して投資家の皆さんにリターンを行う方法を考えて欲しいと依頼するつもりです』という、厳しくない約束をしているのです」。聴衆が爆笑したときに(なにしろ彼が真剣なのだとは思えなかったのだ)、アルトマン氏はこれはまるでドラマの「シリコンバレー」のエピソードのように聞こえるかもしれないと言いつつも「もちろん笑っていいんですよ。全然構いません。でも、それは本当に私が信じていることなのです」と付け加えた。

またアルトマン氏のリーダーシップの下で、OpenAIは投資家に最大100倍の利益を還元してから余剰利益を他に分配する、「上限利益」(capped profit)企業となったが、それは何を意味するのかという質問も行われた。私たちはその100倍という数字がとても高い目標であることに注目している。なにしろ旧来の営利企業に投資する投資家たちが、100倍近いリターンを得ることなどは滅多にないからだ。例えば、WhatsAppに対する唯一の機関投資家であるSequoia Capitalは、Facebookに220億ドルで売却したときに、同社が投資していた6000万ドルの50倍のリターンを得たと報じられた。素晴らしいリターンだ。

しかしアルトマン氏は、「上限利益」が、ちょっとしたマーケティング上の工夫であるという意見に反論し、なぜこれが理にかなっているのかについて改めて強調した。より具体的に言えば、彼は汎用人工知能がもたらす機会はとてつもなく巨大であり、もしOpenAIがなんとかこの扉をこじ開けられたとするならば、おそらく「光円錐内の宇宙の、すべての未来の価値を取り込むことができてしまいます。そうなったときに、特定の投資家のグループだけがその価値を独占することは正しいことではありません」と語った(光円錐というのは相対論の中に出てくる用語だがここでは「未来の人類に手の届く全宇宙」といった程度の意味)。

彼はまた、将来の投資家たちは、投資に対するリターンがさらに低く抑えられることになると語った。これは基本的に、リスクをとってくれた初期の投資家たちに、OpenAIが報いたいと思っているからだ。

インタビューを終える前に、私たちはアルトマン氏に対して、AI研究者たちによるさまざまな批判を投げかけてみた。これらの批判は今回のインタビューに先立って行われたもので、特にOpenAIは定性的なものへ注力しており、既に証明された成果の中での根本的な飛躍を目指しているものではないというもの、そしてその「安全」な汎用人工知能を発見するという使命は、不必要に警戒心を煽り、研究者たちの仕事をより難しくしてしまうというものだ。

アルトマン氏はそれぞれの点に対して熱心に回答した。彼はそれらの意見をまったく否定することはしなかった。例えば、OpenAIに対する最も人騒がせな意見に関しても「その中には共感できる部分もあります」と述べた。

それでもアルトマン氏は、たとえ不毛と思う人がいたとしても、人工知能潜在的な社会的影響について考え、そしてメディアと話し合うために、よりよい議論がなされるべきだと主張した。「OpenAIは恐怖を煽って商売につなげていると言って批判している同じ人が、一方では『Facebookはこれをやらかす前に考えておくべきだったんじゃないか?』と言っています。何かをやってしまう前に、私たちも考えたいと思っているのです」。

インタビュー全体は以下から見ることができる。会話の前半は、主に(現在も会長を務める)YCでのアルトマン氏の経歴に集中している。OpenAIに関する詳細な話は26分付近から始まっている。

 

◆1:思わず人に話したくなる製品を
よいものを作ることができたら、誰もがその製品について友人に話したくなります。この段階で、スタートアップの成功に必要なことは80%達成できているといえるとのこと。



◆2:わかりやすくなければいけない
「人に話したくなる製品」を作るためには、何よりも単純で説明しやすいものでなくてはなりません。製品について簡潔に説明できない時、またその製品について理解してもらえないような時、たいていの場合そこには何かかしらの誤りがあります。

◆3:市場は指数関数的に成長する
スタートアップ時に小さい市場を想定していても、それは急速に成長します。ムービーではiPhoneアプリの市場がもともとはゼロだったことを例に挙げ、市場の動向を注目する難しさを強調しています。



◆4:真のトレンドと偽のトレンドを見分ける
真のトレンドとは、新しい技術的プラットフォームが登場した時に、いち早く手に入れた人たち(アーリーアダプター)がハマったうえで、どのくらいそれが好きなのか友人に話したくなるものです。逆に偽のトレンドとは、買っても使わなかったり、満足いかなかったりするもの。アルトマン氏は真のトレンドであったものとしてiPhoneを、偽のトレンドだったものとしてVR(Virtual Reality)をあげ、「VRは多くの人が話題に上げ多くの人が購入したかも知れないが、iPhoneのようにアーリーアダプターから熱烈な反応をもらえたとはいえない」と指摘しています。このような傾向を、大きな投資をする前に注目するべきとのこと。



◆5:中心的なリーダーの存在
スタートアップには、神の啓示を受けたがごとき創設者が欠かせません。人々を動かす求心力となる存在なくしてチームを組むことは難しいとアルトマン氏は述べています。

◆6:野心的なビジョン
決して増長しすぎてはいけませんが、野心を時間と共に成長させ、それを根本から実現させていくことで、人々は応えてくれます。野心的なビジョンは働く側のモチベーションに貢献します。

◆7:簡単なスタートアップは逆に難しくなる
2018年のシリコンバレーは「楽なスタートアップよりもハードルの多いスタートアップの方が簡単」という矛盾しているような状況にあるとアルトマン氏は述べています。現在は資金調達が比較的簡単であることからとても多くのスタートアップ企業が存在していますが、十分な才能を集結させることは本当に難しくなっています。会社を設立するときに最も重要なことは、野心的なビジョンを多くの人が賛同し参画したくなるものに進化させることです。



◆8:自信と明確な展望を持つこと
大成功した企業と創業者たちに見られる特徴を繰り返し考えた時、彼らはみな自信を持っており、また明確な将来のビジョンを有していたとして、野心に自信を持つとともに展望を明らかにすることの重要性を説いています。

◆9:チームの重要性
強力なチームを作り上げることは、適切な市場を選ぶことや強力な製品を作ることよりも重要なことだとアルトマン氏は考えているそうです。「会社を設立すること」は「チームを組むこと」に等しいといえます。



◆10:楽観主義者であれ
世間からは「スタートアップなんて成功しない」という目で見られ、実際にそういったことを言われるので、楽観的な精神なくして成功まで走り続けることは非常に難しいです。

◆11:アイデアを生む
イデアマンは多くいればいいというわけではありませんが、コンスタントに新しいアイデアを生んでくれる人が会社にいれば、そのアイデアのほとんどがダメなものであっても、チームにとても重要な一石を投じることとなります。



◆12:わからないことなんてない
アルトマン氏がスタートアップの初期チームから聞いて最も気に入ったことがこの「わからないことなんてない(We'll figure it out)」の精神だそうです。自分が適任ではなくても、これまで解決したことがなくても、その問題が会社を殺しうるものだとしても、それを理解し解決しようとする精神が非常に重要だと述べています。

◆13:最善を尽くす
同じようにアルトマン氏が気に入った言葉のひとつが、「最善を尽くす(I've got it)」です。「それは私の管轄外です」と大企業などではよく耳にするイメージがありますが、「やってみます」「最善を尽くします」「お任せください」とステップアップしていく意欲を見せる人がスタートアップチームでは望まれます。

◆14:自分の考えで動く
スタートアップ時には、迅速に動いたものが勝利します。十分なデータや時間が得られることは決してない中では、まず自分の考えで動き、うまくいかない時は素早く別の方法にシフトする、というスピーディーなアクションが必要となるとのこと。



◆15:経験不足に祝福あり
信じられないような物事に取り組んでいくスタートアップチームを見てきた中で、そのような取り組みを難しいという人も不可能だという人もいなかったとアルトマン氏は述べています。特にスタートアップ初期では、それができないと想定されるよりも前に物事は起きるもので、経験不足な人ほど未知のハプニングに高いポテンシャルを発揮してくれる傾向があるそうです。

◆16:勢いが大事
設立者の最も重要な仕事は、勢いを失わないことです。自身の勢いによってスタートアップは生き残ることができます。勢いを保っていれば人々は最大のポテンシャルを発揮して結果をもたらし続けてくれますが、もし一度勢いを失ってしまったらそれを取り戻すのは難しいです。

◆17:競争上の有意性
YCはスタートアップチームに対して、「長期的な独占効果はどのようになりますか?」「長期的な競争の優位性は何ですか?」「このビジネスにおけるネットワーク効果はどこにありますか?」と繰り返し問いかけました。素晴らしいビジネスを行っている人は、これらの質問に回答することができたそうです。

◆18:流通戦略
同じように、どのように成長し、どのようにユーザーを獲得するのかを尋ねた時、初めて意識した様子だったら悪い兆候とのこと。最初に具体的な戦略を想定しておくことが重要です。



◆19:なぜスタートアップが大企業に勝てるのか
スタートアップチームが大企業を打倒することはとても難しいことであるため、過去にどのような例があるのかを把握しておくことが重要になるとアルトマン氏は述べています。スタートアップチームが大企業に勝利できる要因の例として、大企業では「一見すると悪く見える良いアイデア」を実行したいと考えた時に全員から「YES」をもらうことが難しい点や、急速に移り変わる市場やプラットフォームにおいて俊敏性を持つスタートアップが有利になる点などをあげています。

 

Yコンビネーターを立ち上げた男は「バイオスタートアップの未来」に賭ける──サム・アルトマン
Airbnbやドロップボックスを生み出してきた、シリコンヴァレー最強のスタートアップ育成所・Yコンビネーター。いま、彼らが目をつけている分野は、バイオテクノロジーだ。数年前は誰も信じなかった「バイオの可能性」を、Yコンビネーター社長サム・アルトマンが語った。

TEXT BY SARAH ZHANG

WIRED NEWS (US)







 

テック業界では、サム・アルトマンの説明は不要だろう。しかし生物学者のなか紛れ込むと、この名高いスタートアップインキュベーター「Yコンビネーター」の共同創業者兼社長は、その青いパーカーとスニーカーの出で立ちであっても、その正体がバレることはない。

Yコンビネーターは、AirbnbReddit、ドロップボックスといった多数の有名スタートアップに資金提供をしてきたことで知られる有力インキュベーターだ。2014年、彼らは合成生物学のスタートアップGinkgo Bioworksに初の資金提供を行った。Ginkgo Bioworksは、最近行われたシリーズBラウンドで4,500万ドルを調達した企業である。それ以来、アクセラレーターたちはこぞって、数十というバイオテクノロジースタートアップに資金提供を行っている。

15年11月にサンフランシスコで開催された、科学者や起業家、ヴェンチャーキャピタリストらが集まる合成生物学の学会「SynBioBeta」で、『WIRED』US版はアルトマンに会った。彼は、Yコンビネーターがバイオスタートアップの成功のためにどんな役割を果たしたのか、そして彼らの新たなラボ組織「Yコンビネーターリサーチ」の展望について話した。

 
──あなたはいつも、この手の起業家の集まりでは大勢の人々に取り囲まれているのかと思っていました。

バイオテクノロジーのイヴェントではそうでもないんですよ。

──きっとすぐにそうなりますよ。バイオスタートアップは今年、5億6,000万ドルという記録的な額の資金調達を行いました。なぜ、いま、投資家たちは、バイオテクノロジーにこれほどの関心をもっているのでしょうか?

ぼくたちが注目するポイントは2つ、「お金」と「時間」にかかるコストです。DNAシークエンスといったテクノロジーは日々進化するので、お金と時間という点で、これまでスタートアップはそのハードルを超えることができませんでした。ざっと計算して、数百万ドルを費やせば、バイオの分野では重要な進歩を見るための環境を整えることができるのです。

 
しかし、(それらのハードルが下がってきたことで)これまでに支払ってきた数千万ドル単位の小切手が、ついに昨年花開きました。おそらくぼくはこれから、他の投資家からバイオについて意見を求められることが最も多くなるでしょう。でも2年前は、彼らはぼくをクレイジーだと思っていたんです。「こんなものに資金提供をして何になるんだ? ものになるわけないよ」ってね。

──ソフトウェア企業への投資の場合、それがうまくいくまでは、たとえうまくいっていなくてもそのように装うことができますよね。最終的にはコードをきちんと動かせるということを、あなたはよく知っているからです。しかし生物学の分野では、ただただうまくいかないこともときとしてありますし、その原因がわからないこともあるはずです。そうした技術に投資をする前には、どうやって検証しているのでしょうか?

 
 
ぼくたちは、非常に初期の段階でその検証を行います。これはぼくらの投資ステップ特有のものといえるかもしれません。その結果、たくさんの投資を行っても、そのなかの多くで技術的な失敗があることを受け入れることができます。シリーズBの段階での投資ではそうはいかないでしょう。大きな報酬が得られる可能性があれば、ぼくらは大きなリスクもとるようにしているのです。

──どの企業のアイデアが成功するかどうかを、いかに見極めているのでしょうか? Yコンビネーターが資金提供した最初の合成生物学スタートアップGinkgoは、その創業者のうちの5人がMITの博士号をもっていますが、そうした経歴をもとにしているのでしょうか。

ぼくたちは常に人に投資をしています。彼らに経歴があるかどうかに。ただ経歴は、ぼくたちがその企業について知るにつれ、バイオのエキスパートになるにつれ、より多くのバイオテクノロジーのパートナーを育てるにつれ、そしてこれらのスタートアップをレヴューするのを助けてくれるような人々のネットワークをもつようになるにつれ、確実に重要ではなくなっていきます。実績がなくても、実際に素晴らしいアイデアをもっていて自分たちが話していることをよく理解しているのなら、バイオに関してはまったくの素人にも投資をすることが増えてくるでしょう。

 
──Ginkgoは無事投資を受けることになったわけですが、バイオスタートアップがうまくいくためのヒントは何か見えましたか?

ぼくは、人々がスタートアップに投資をするときに犯しやすい過ちは、「これはまったく違う」と決めつけてしまうことだと思うんです。そうして、人々がほしがるものや顧客と話をする機会といった大事なことを窓から捨ててしまうんです。ぼくたちが評価しようとしていることは、創業者が、世界を変えられるような会社をつくれるということ、今後10年間で会社を成長させていくことができるということを信じているかどうかです。

 
ぼくが好きなこんな言葉があります。「素晴らしいスタートアップのアイデアは、『よいアイデア』と『悪い考えのように見えるアイデア』の交点にあるものだ」。だから、ぼくがあるスタートアップを見つけたら、他の人はそれを悪いアイデアだと考えてくれるといいと思っています。そうすれば人と競わなくて済むわけですから。残念ながら、悪いアイデアのように見えるもののほとんどは、実際に悪いアイデアなのですが。

──しかし、人々のものさしに合った価値をもっていたほうがいい場合もありますよね。例えば「規制」です。農業系企業は、2年前にはEPA(米環境保護庁)の認証を受ける必要がありましたし、医療機器系の企業はFDA米食品医薬品局)の認証が必要でした。

多くの投資家は、ものすごく短期的な価値観をもっていますが、ぼくらはそうではありません。15〜20年かかって1,000億ドルのリターンが得られるなら、まったく問題はないのです。投資家の多くは、規制の厳しいビジネスを好みません。それは不確かで、彼らはせっかちだからです。でも、ぼくたちはそれを悪いことだとは考えていません。長い時間のかかるものには数少ない人しか挑戦しないので、競争相手が少なくなるからです。

 
たいていの投資家は不確実性を嫌いますが、ぼくはそういうのが好きなんです。カジノのテーブルでギャンプラーがスリルを感じるのが好きなようにね。あるいはこれはぼくの欠点といえるかもしれませんね。不確実性の低いものを好む方が、投資の際には明らかに合理的なのですから。

──Yコンビネーターのブランドがあるからこそ、不確実性に対してそのように余裕でいられるのでしょうか? しかし、Yコンビネーターがある企業を支援すると、「Yコンビネーターが認めたから」といって他の人々も投資するような状況が実際に生まれています。

 
それはやめてしてほしいことなんですよ! 実は、Yコンビネーターが業界のなかでそうしたポジションについてしまったことは好ましくないと考えているんです。ぼくたちが企業に資金提供をすると、他の投資家は十分な精査もなしに投資をしてしまう…。これはその投資家にとっても、企業にとってもよくないことです。悪い企業がより早く消えていくのは、スタートアップのエコシステムにとっては好ましいことですが。

──最近発表されたYコンビネーターリサーチは、グーグルXやベル研究所を思わせます。あるいは大学の研究室のようにも思えます。いったいこれはどんな組織なのでしょうか?

Yコンビネーターは、ユニークなポジションを獲得しつつあります。ぼくらはたくさんの利益を生み出しています。公共機関ではありませんが、長期的な展望をもち、さまざまな問題を時代の変化とともにとらえています。そして毎年、何百という企業がぼくらのドアをくぐっていきます。もしそれらをすべてひとつにまとめることができれば、ぼくたちは素晴らしい研究組織をもっていると言うことができるでしょう。

 
Yコンビネーターリサーチの取り組みは、世界にとっては重要だけれどまだ企業としてのかたちにはなっていないものに、資金を提供していくための実験です。ぼくたちは、自分たちの使命が企業への資金提供だとは考えたことがありません。ぼくらはずっと、イノヴェイションを起こし、そのインパクトを最大化することを考えてきました。スタートアップの支援はそれを行うための最善の方法だと思っていますが、もちろん唯一の方法というわけではありません。Yコンビネーターリサーチは、学術研究や企業研究に優る新しい研究モデルをつくることができるか、という挑戦でもあるのです。

ラボの最初のグループは、15〜20人の科学者で構成される予定です。先月はずっと、ぼくはそのための人材をスカウトしていました。そして最初の運営は、自分自身で行うつもりです。じきに、それについてもお話できるようになるでしょう。